2008年03月29日
2008年03月28日
民主・市民クラブ3月議会意見開陳原案
同僚の田中しんすけ議員(中央区)の民主・市民クラブ3月議会意見開陳原案です。私の意見も取り入れてくれています。
平成20年第1回福岡市議会定例会(意見開陳)
発言全文
私は、民主・市民クラブを代表して、本会議に上程されております平成20年度一般会計、特別会計及び企業会計の予算議案、条例案並びに関係諸議案について、いずれも原案に賛成の意を表し、討論を行なうものであります。市政各般につきましては、我が会派の代表質疑、補足質疑、特別委員会の総会および分科会で意見を述べておりますので、当局におかれましてはこれら意見に十分な配慮を頂きますよう要望しておきます。ここでは、特に重要な項目について、我が会派の理念に基づいて意見要望を申し述べたいと思います。
1点目は、財政運営の在り方についてであります。
吉田市長は、市長自身がその策定を手掛ける「財政リニューアルプラン」のスタートの年として、財政健全化の取り組みをより加速させるという決意のもと、平成20年度の予算編成に取り組まれました。
財政健全化への取り組みの視点として、①歳入・歳出の一体的見直し、②資産・債務の圧縮、③システムや手法の改革という3つが挙げられており、それぞれの視点から事業の見直しや効率化が図られています。具体的には、「歳入・歳出の一体的見直し」という視点から歳入・歳出両面からの構造改革、特別会計および企業会計の経営改革、外郭団体の経営改革、「資産・債務の圧縮」という視点からアセットマネジメントの推進、保有資産の活用・売却、公債費負担の縮減、「システムや手法の改革」という視点から局区予算制度による経費の縮減、システム改革が掲げられ、これらの取り組みにより、109億円余の見直し効果が生まれています。
そしてその結果として、平成20年度の市債発行額を530億円、すなわち、平成19年度よりも市債発行額をさらに50億円以上抑制し、市債依存度を減少させました。さらに市債残高については、平成19年度末と比較して、一般会計については248億円の縮減、全会計についても440億円の縮減という、いずれも過去最大の縮減が達成される見込みです。
このような財政健全化に対する取り組み・努力については率直に評価をしたいと思いますが、わが会派としては、さらに「都市を経営する」という観点から、中長期的には以下の2つの視点を財政運営の指針として盛り込まれることを要望いたします。
ひとつは、「確固たる財政哲学」の導入です。わが会派の同僚議員が補足質疑の場において、日本の実践的財政学の第一人者である神野直彦教授の財政理論について言及しました。詳細については既に本議場で開陳されているので触れませんが、神野教授の財政理論の要点のみを申し述べると、「財政再建は重要であるが、それが目的化されてはならない」ということです。吉田市長においては、財政健全化を最重要課題の一つと位置付けられていますが、それならば「なぜ財政再建が重要なのか」、「何のための財政健全化なのか」、「どれだけ市債残高を減らせば財政が健全だと言えるのか」といった財政に関する様々な疑問に答えられなければなりません。この疑問に答えないまま財政再建に取り組んでいけば、借金を返すこと自体が目的化され、本来提供されなければならない公共サービスを犠牲にしてでも借金返済に血道をあげてしまう。先に紹介した神野教授は、確固たる財政哲学がないまま財政再建を推進すると、このような本末転倒の事態に陥りかねないと警鐘を鳴らしている一人なのです。
具体的な話をすれば、例えば現在、市債残高の多寡を分かりやすく説明する指標として、「市民一人当たりの市債残高」が採用されており、本市の市債残高を示す際にも多用されています。本市における平成20年度末の市民一人当たりの市債残高は、全会計で約184万2000円になると見込まれており、昨年度末と比較して、3万6000円減少していることは分かります。しかし、市民にとっては、この金額をどのように評価してよいのか分らない、すなわち、この金額が大きいのか小さいのか、適正なのかが判断できないというのが正直な気持ちではないでしょうか。適正な市債残高を示す指標を設定するのは困難な作業だとは思いますが、市民に対して財政状況を理解してもらう上で、また、市長の財政健全化に対する取り組みを評価してもらう上でも、本市における適正な市債残高や、その判断基準を示すことは重要な取り組みだと考えます。今後研究を重ねられますよう、強く要望しておきます。
もうひとつは、「戦略的都市経営」という視点です。ここで言う「戦略的」という言葉の定義は、「投資に対する収益の額を予測する」というものです。わが会派の同僚議員が総会質疑において、これからのアセットマネジメントについて、福岡市が保有する土地や建物を活用したときの税収予測までを計算することが重要である、と指摘しました。例えば、この土地を売ったら固定資産税がいくら入り、この施策を実行すれば本市人口がどれ位増加し、その結果市民税がいくら増加する。同様に、この経済政策により、これだけの企業誘致が進み、その結果法人市民税がいくら増加する・・・。このような視点を取り入れれば、「限られた投資でより多くの収益を上げるためにはどうすれば良いか」ということを考える動機が生まれ、様々なアイデアが検討されることになります。政策決定の際は、そこで生まれた様々な選択肢の中で、最も大きな収益を上げる政策を実行すれば良いことになり、その過程で当該政策の妥当性も担保されることになるのです。
とりわけ吉田市長が「市民の財産とする」と強く表明しているアイランドシティ整備事業に関しては、これだけ税金を投入すれば、将来これだけの税収・便益が市民に還ってくるといった点について、詳細な説明をすることが不可欠であると考えます。戦略的都市経営という視点から市政運営に取り組めば、市民に対して市政運営の在り方が正しいか否か、もっと噛み砕いて言えば、その税金の使い方が正しいのか否かを意思決定する「判断材料」というアウトプットが生み出されます。市民に対する便益をどのように評価するかという課題は存在しますが、戦略的都市経営を進める際に生み出されるこのアウトプットは、市政運営の在り方を伝えるツールとして、また、市民にとっては市政運営の在り方を判断する評価基準として非常に有用であると考えますので、中長期的にこの視点を今後の財政運営に導入されるよう強く要望いたします。
2点目は、こども病院等市立病院の統合移転問題についてであります。
市立病院の在り方については、市立病院統合移転事業検証・検討結果を踏まえ、病院事業運営審議会において専門的な見地から審議が行われているところであります。その答申を受けて、早急に市としての方針を決定するとともに、その事業化に伴う予算付けが速やか実行されるよう要望いたします。
また、病院運営審議会における議論とは別に、こども病院のアイランドシティ移転にあたっては、患者・家族のための教育・相談体制や宿泊施設など、広域的な中核施設に相応しいこども病院の総合的な周辺環境整備に取り組まれるよう、また、病院事業審議会の答申を受け、市としての方針決定を行う際には、今一度その方針決定至るまでの経過について、市民に対してできる限り丁寧に説明されるよう、強く要望しておきます。
3点目は、学校耐震化についてであります。
学校施設の耐震化については、平成18年3月に策定した「福岡市公共施設の耐震対策計画」に基づき、講堂兼体育館は平成22年度、校舎は平成27年度の完了を目標に耐震診断と必要な耐震改修計画を実施されているところでありますが、校舎の耐震化については、計画を前倒しした上で、平成23年度完了を目標として取り組まれるとのご所見をいただきました。
今後とも、早急に安全、安心な教育環境整備という観点から、学校耐震化を推し進められますよう、強く要望しておきます。
4点目は、障がい者自立支援についてであります。
障がい福祉サービスの利用者負担については、国の負担軽減策を補完する本市独自の軽減措置を講じるなど配慮されているところでありますが、平成20年度においても、利用者負担に対する本市独自の軽減策を継続するとともに、次期障がい福祉計画を策定されるという一連の取り組みに対して賛意を表するところであります。
さらに、移動支援制度を充実させ、障がい者の自立と社会参加を推進されますよう、強く要望しておきます。
5点目は、東部療育センターについてであります。
東部療育センターにつきましては、平成20年度から基本設計・実施設計に着手するなど整備を進め、平成22年度までに完成させる旨、当局の見解をいただきました。
東部療育センターの整備については、計画通りに平成23年度の開設を実現できるよう、遅滞なく取り組んでいただきますよう、強く要望しておきます。
6点目は、ウィルス性肝炎対策についてであります。
ウィルス性肝炎患者の医療費助成については、現在、国において関係する整備等が進められていますが、本市としても、肝炎ウィルス感染者の早期発見・治療に結びつけるために、無料肝炎ウィルス検査を実施し、検査の受診を促進していく。さらに、平成20年度からは、保健福祉局に担当主査を新設し、肝炎対策を推進していくとのご所見でありました。
引き続き、ウィルス性肝炎感染者に対する偏見などを無くし、早期治療の重要性を市民に理解してもらうために、ウィルス性肝炎に関する正しい知識の普及啓発を図るとともに、肝炎ウィルス検査の受診奨励に努めていただきますよう、強く要望しておきます。
7点目は、留守家庭子ども会事業についてであります。
我が会派は、留守家庭子ども会事業のあり方については市長が提出した基本利用料を無料とする条例案が、政策的合理性の観点から妥当であり、かつ現実的であると評価し、全面的に支持することを表明いたします。
その理由について、順を追って下記に申し述べます。
第一に、市長が提案した無料化案は、「子育ての社会化」という近年の政策的潮流に合致した、時宜を得たものであるという点です。内閣府が発行する『平成17年版・国民生活白書』においては、この「子育ての社会化」という概念の重要性が強調されています。「子育ての社会化」とは、内閣府の定義によると「子育てを家族だけの責任とせず、社会全体で何らかの子育てに参加できる仕組みを構築する取組み」とあります。さらに同書では、親だけでなく子供にも焦点をあてた政策を行い、国・地方公共団体・企業・地域等が一体となって持続的な社会を築くことで社会の構成員全員が次世代を担う子どもの育成に関心を持ち、一人ひとりが本来の子育ての持つ楽しさを取り戻すことが、子育て支援のみならず、女性の社会進出、ひいては少子化対策としても非常に重要であるという点が指摘されています。
また、公的部門を通じた世代間移転に着目すると、これまで年金財政などを通じて現在の子育て世代は負担超過となっていることから、税や社会保障の負担と給付のバランスを是正していくことも必要である点は広く認識されています。この点に関して国立社会保障・人口問題研究所が2005年に発行した『子育て世帯の社会保障』においては、保育政策の財源確保の方法として、高齢者に偏っている社会保障給付費の配分割合を見直して、子どもや子育て世帯への所得再配分を行なうシステムを構築することの重要性が指摘されているところでもあります。
このように、国や専門機関から指摘されているように、今日、わが国では税・社会保障の負担と給付のバランスが崩れ、とくに子育て世帯の超過負担になっていると広く認識されている中で、留守家庭子ども会事業の無料化は、子育て世帯の負担感を軽減させ、少子化対策のみならず、女性の社会進出を後押しすることに伴う男女共同参画社会の実現、さらには女性の就労拡大に伴う本市経済のさらなる活性化といった多くのアウトプットを生み出すという意味においても、社会政策の中の大きな柱の一つであることからその実現を強く主張するものであります。
第二に、自民党およびみらい福岡、ふくおかネットワークが主張する6年生までの学年拡大については、学年拡大に伴い生じる様々な課題や問題についての解決策を講じない状況での実施は、却って現状の留守家庭子ども会事業のサービス水準を著しく低下させるという懸念があることから到底容認できません。特に、子どもの視点からの検討が為されていないことは大きな問題であると考えます。年齢差の大きい1年生から6年生までの全学年が狭い敷地内での生活を共にする上での課題や問題については十分な調査・検討が不可欠ですが、この視点を欠落させたまま提出された条例案は現実性に欠け、無責任であるといっても過言ではありません。昨日の総会質疑において、ふくおかネットワークに対して「解決されるべき様々な課題が存在する中で性急な学年拡大を実施すれば、混乱を招くだけで、ふくおかネットワークが最優先課題だとするサービスの拡充にはつながらないのではないか」と指摘したところ、明確な回答はありませんでした。
第三に、現在留守家庭子ども会事業に導入されている「受益者負担原則」は、そもそも福祉政策の分野において受益者を個人から社会に拡大してきている国の政策方針からもずれたものであり、本来は無料化が望ましい施策であるにもかかわらず、受益者負担という誤った政策理念を導入したせいで、利用者の半数近くが減免対象となるような異常な制度設計が為されている点です。このような制度的欠陥はいち早く是正されなければならないということは、我が会派として強く主張するところであります。
そもそも福岡市の留守家庭子ども会事業は昭和41年度より開始され、その後40年以上は利用料という概念自体がなく、無料で運営されてきた事業です。そのような歴史を考慮すれば、本市の取組みは、「子育ての社会化」をいち早く制度として具体化してきたという点で、非常に先進的なものであったと再認識いたした次第です。そのような素晴しい制度であったものが、受益者負担という政策的観点からも誤った理念の導入により、利用料を徴収するようになったのは平成18年9月からであります。有料化の歴史は1年と半年程しかありません。40年の長きにわたり無料で運営されてきた留守家庭子ども会事業。本来は無料化が望ましい施策であるにもかかわらず、受益者負担原則が導入されたことにより、制度的にどのようになったか。受益者負担という誤った政策理念を導入したせいで、利用者の半数近くが減免対象となる反面、利用料が支払えない経済的に困窮している子育て世帯の子どもが退会を余儀なくされるという異常な制度設計が為されてしまいました。特に有料化の際に設けられた減免制度については、減免の基準を「就学援助を受けている世帯」に限定したために、それ以外の世帯が減免を受けられないという点で問題があることを指摘しておきたいと思います。また、政策理念的にみても、留守家庭子ども会事業が義務教育期の子どもの「放課後の安心・安全な生活空間」を提供する施策であることを考慮すると、親の収入の多寡により施策的な差別が行われることは非常に大きな問題であることから、留守家庭子ども会事業は原則無料として実施されることが望ましい点を強く主張いたします。
さらに、市民の皆様に対しては、福祉政策分野へ「受益者負担原則」を安易に導入することが如何に危ういことかをお伝えしておきたいと思います。有料化維持を主張する根拠として、「受益者負担の観点から、特定のサービスを受ける人がそのサービスに対する対価を支払わないのはけしからん」と言う旨の意見がありますが、そのような考え方は民間分野の経済活動の中では常識的であっても、公共サービスを受ける際には極めて例外的な考え方であるということを強調させていただきます。公共サービスを提供する際のその費用負担に関しては、様々な有識者が「都市生活に欠かせないサービス供給に必要な財源調達は租税・補助金などの一般財源に依存すべきであり、受益者負担制度の安易な拡大・導入は避けるべき」と主張しています。すなわち、公共サービスの提供においては、その財源は税金を中心に語られなければならないということです。「特定のサービスを受けているのだから、その対価は利用料として支払うべきだ」といわれれば、何となくそうなのかな、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、公共サービスの供給に関してはそもそも皆さんが納められた税金が原資とし準備されていることを今一度思い起こしていただきたいと思います。
また、受益者負担を導入する際には、その政策的意義はもちろんのこと、財政的理由(すなわち、租税ではなく「受益者」を限定して利用料を徴収しなければならないとする理由)を明確にしなければならないとも指摘されています。有料化維持を主張する自民党・みらい福岡から留守家庭子ども会事業に対して受益者負担を導入する理由に関して、ただ「受益者負担」と叫ぶのみで、政策的合理性の観点から一言も語られていません。「一般財源を子育てに傾斜するのはおかしい」という、財政面での所得再分配のあり方という視点から反対するというのならば、政策論争としての議論に値するとは思いますが、「特定のサービスを受けるものは対価を払うべき」という理由での有料化維持は、公共サービスはそもそも租税負担で賄うべきという原則から言えば、的外れな主張であると言わざるを得ません。
そして、受益者負担はともすればその適用範囲を容易に拡大・利用されやすい性格を持ち、しかも市民への負担転嫁が行なわれやすいので、その適用は慎重にならなければならないという意見も通説的なものです。例えばもし、留守家庭子ども会事業に対して受益者負担原則を徹底しようとすれば、利用者一人当たりの月額利用料は現行の3,000円から15,000円に跳ね上がることになります。昨日の総会質疑において、自民党およびみらい福岡に対して、受益者負担原則の視点からすると利用料の値上げもありえるのかという質問に対しては、値上げを否定する明確な回答はありませんでした。受益者負担の原則を導入するということは、本市が少子化対策として充実させてきた乳幼児医療や第三子優遇制度を有料に戻したり、支給制限を導入させたりする根拠ともなってしまい、それが安易に拡大・利用されることにより、生活に密着した公共サービスに対しては常に値上げ圧力を生じさせるという観点から、留守家庭子ども会事業のみならず、子育て施策における受益者負担原則の導入は到底容認できるものではありません。
有料化維持のもうひとつの根拠として、「留守家庭子ども会事業を無料にすれば、留守家庭子ども会に子どもを預けていない世帯との間に不公平感が生じるのではないか?」と主張される方がおられますが、我が会派は、その指摘は当たらないことを指摘しておきます。なぜなら、留守家庭子ども会事業で提供される「放課後の安心・安全な生活空間」は、あまねく等しく全ての学童に保障されるべきナショナルミニマムであると考えるからです。例えば、一連の障がい者施策に対して、健常者との間で不公平感が生じると指摘する人はまず存在しないでしょう。それは、支援無しでは保障されるべき一定水準の生活レベルに達することができない人々に対して、公的な支援を行うことにより健常者と同様の生活水準、すなわちナショナルミニマムを保障する施策だからです。さらに、留守家庭子ども会に子どもを預けている世帯は、父親母親ともに就労している世帯です。仕事をしている母親は、税金を納めることにより公共サービス提供のための原資を拠出していることを考慮すれば、働く母親を支える様々な子育て施策に税金を投入することは、所得再配分の一環としても妥当であると考えます。これらの理由により、「留守家庭子ども会事業を無料にすれば、留守家庭子ども会に子どもを預けていない世帯との間に不公平感が生じるのではないか?」という主張は当たらないことを明言いたします。
以上のような理由から、自民党およびみらい福岡、ふくおかネットワークが提案した条例案並びに条例に対する修正案は、性急な受け入れ学年の拡大により現行制度と比較してサービス水準が著しく低下する恐れがあり、また受益者負担原則の導入により福祉政策や社会保障政策の理念を捻じ曲げるという点から到底賛同できるものではありません。わが民主・市民クラブは、市長が提出した基本利用料を無料とする条例案について、政策的合理性の観点から妥当であり、かつ現実的であると評価し、全面的に支持することを改めて表明いたします。
そして最後に、福岡市2011グランドデザインについて意見を申し述べたいと思います。
吉田市長は、市民生活の充実と都市活力の創出を実現するための基本構想として、平成20年度中に「福岡市2011グランドデザイン」を策定することを表明されています。さる平成19年11月には、この福岡市2011グランドデザインの柱として、政策推進の基本方針、特に力を入れていく分野を提示するための「政策推進プラン」、行政運営の仕組みや発想、手法の見直しの方針となる「行政改革プラン」、本市財政のあるべき姿、財政健全化への取り組みを示した「財政リニューアルプラン」という3つのプランについて、それぞれの概要が公表されました。
この「福岡市2011グランドデザイン」の策定公表は、言い換えれば、「吉田市長が目指す将来の福岡市の姿」を、市民に対して初めて体系的に示す機会ともいえましょう。市民は、このグランドデザインを見て、一昨年の市長選挙において信任を与えた吉田市政を再評価する、福岡市2011グランドデザインはその際の市民にとっての判断材料といっても過言ではありません。
今後、吉田市長においてはこのグランドデザインを通して、2兆6000億円を超す債務を抱える本市の財政実情、および中長期にわたる財政健全化に向けたきちんと市民に示し、今後の市政運営に対する安心感を与えることが必要です。高齢者・年金生活者市民の医療・介護等の負担感を減少させるためのセーフティネットを張ることや、子育て支援の充実継続を約束することにより、「今後とも福岡に住み続けたい」と多くの市民に実感させることが必要です。そして、市内外を問わず多くの人々に「これからも福岡は活気があって、楽しいまちになりそうだ」そのような将来への期待感を与えることが必要です。
すなわち、吉田市長が福岡市のリーダーとしてやらなければならない最も重要なことは、このグランドデザインを通して、将来に漠然とした不安を抱えながら生活を送っている多くの市民に対して、「将来に対する安心感、期待感」を与えることなのです。将来に対する安心を実感することができれば、人はそのまちに住み続けるでしょう。将来に対する期待感を抱くことができれば、自然と人はそのまちに集まってくるでしょう。
現在、国民の間には、非正規雇用の拡大や年金の問題、さらには生活用品の物価上昇など、身近な生活に関する不安が広がっています。市民は、これまで自らの生活を守ってきた年金・医療・介護・子育てなどの公的なセーフティネットの綻びを実感するとともに、雇用と景気の見通しが立たないという「将来への漠然とした不安感」を抱きながら日々の生活を送っています。吉田市長が示すグランドデザインが、そのような多くの市民が抱く不安感を払拭し、さらには将来に対する安心感、期待感を与え、このまち全体に元気と活力を生み出す起爆剤となることを心より願うものであります。
以上を持ちまして、民主・市民クラブの賛成討論とさせていただきます。長広舌に及びましたことをお詫び申し上げるとともに、とりわけ、本定例会、特別委員会の総会、および分科会において大きな議論が繰り広げられました留守家庭子ども会事業の在り方につきましては、先に申し述べましたわが会派の政策理念に対して、議員各位のご賛同賜りますよう強くお願い申し上げて、討論を終わらせていただきます。最後までご清聴、真にありがとうございました。
留守家庭子ども会無料化案見解
同僚議員の田中しんすけ議員と一緒にとりまとめた見解です。
留守家庭子ども会事業の無料化案(市長案)を支持する根拠
[Ⅰ] 留守家庭子ども会事業は「無料化」が望ましい
① 政策的な観点からみても、無料化は時宜を得ている
(「子育ての社会化」という潮流)
内閣府が発行する『平成17年版・国民生活白書』に結びの部分においては、「子育ての社会化」についての重要性が強調されている。「子育ての社会化」とは、内閣府(2005年)の定義によると「子育てを家族だけの責任とせず、社会全体で何らかの子育てに参加できる仕組みを構築する取組み」であり、親だけでなく子供にも焦点をあてた政策を行い、国・地方公共団体・企業・地域等が一体となって持続的な社会を築くことで社会の構成員全員が次世代を担う子どもの育成に関心を持ち、一人ひとりが本来の子育ての持つ楽しさを取り戻すことが、子育て支援のみならず、女性の社会進出、ひいては少子化対策としても非常に重要である点を指摘している。
また、先日行われた厚生労働省の各都市の関係部局長を集めての来年度方針および予算説明会において、雇用均等・児童家庭局から学童保育事業に関する新しい補助単価が発表された(別添資料:参考①)。この中では学童保育事業を重点戦略の一つとして推進していくこと、今後10年間で学童保育の利用者数を3倍に増やすことが明確な方針として示され、とりわけ「施設規模の適正化」、「開設時間の延長」、「障害児受け入れ」の3分野については補助金を増額することにより政策的誘導を実施することを明らかにしている。
さらに、公的部門を通じた世代間移転をみると、年金財政などを通じて現在の子育て世代は負担超過となっていることから、税や社会保障の負担と給付のバランスを是正していくことも必要である。そのためには、子育て関連施策を総合的にとらえて拡充し、子育てにかかる個人の経済的な負担を軽減していくことが必要であり、それは最近の国の動向から判断しても時宜にかなった政策的潮流なのである。
(いわゆる「受益者負担」は子ども施策に馴染まない)
一面的に子どもを捉えると、その弱さゆえに面倒をみなければならない扶養対象であるが、戦略的な見方をすれば、子どもは将来の年金・医療・介護システムを支える、また、将来の国の発展を推進する貴重な「人財」、「資源」と見ることができる。
さらに、従来子育ては家庭と地域で行われてきたが、近年は社会環境や経済環境の変化(核家族化や地域コミュニティの希薄化)に伴い、家庭および地域の子育て機能が急速に低下している。これを解決するためには、子育ての社会的サポート機能の強化に取り組むことが現実的である。
そういう意味では、「子どもは家族・家庭で面倒をみる」という従来の発想から脱却し、私たち自身の将来を豊かなものとするためにも、社会全体をあげてサポートしていく発想・システムに行政が主導して切り替えていく必要がある。そのことにいち早く気付き、子ども施策に重点的な投資を実行したおかげで少子化脱却や学力向上を実現し、この世界不況下でも経済的繁栄を謳歌しているのが北欧諸国である(子どもに対する投資額は、平成13年OECD調査によると日本が3%、スウェーデンが10%)。
上記の観点からむしろ、子ども施策に関しては受益者の概念を「社会全体」と解釈した上で、通常使用される「受益と負担」の関係とは切り離して柔軟な姿勢で検討・実施されることが望ましい。
なお、そもそも受益者負担という言葉自体がわが国において法制的に用いられたのは1919年(大正8年)の都市計画法が最初といわれており、都市計画事業の事業費に対する財源を受益者負担金として徴収したことが始めと指摘されている。そのような歴史的背景から、下水道企業会計等の企業性の高い活動等で受ける便益と費用負担の対価性を指すことが通説的であり、そういう文脈から本来福祉施策の分野に馴染まないものである。
わが国では小泉改革以来、福祉分野への受益者負担原則の導入が図られたが、障がい者自立支援法における障がい者への一割負担や、介護・医療改革による負担増がいかに過酷なものであるかということを考えれば、福祉分野への受益者負担原則の導入が望ましい施策でないことは明らかである。
② 無料化が望ましい事業を「有料」としていることの弊害
本来、無料化が望ましい留守家庭子ども会事業を有料としていることから、事業自体が歪んだものとなっている。政策的合理性の観点からいえば、利用者の半数近くが減免措置の対象となる制度設計自体が異常である。
また、減免措置という経済的観点からだけでなく、共働き世帯にかかる子育てに対する負担(時間的制約・身体的負担・心理的負担)を軽減するという観点からも留守家庭子ども会事業の趣旨が論じられる時期にあることを認識すべきである。
こうしたことを踏まえると、留守家庭子ども会事業の基本料は、本来子どもを中心に考えれば、親の経済的環境によって差異を設けるべきではなく、子どもは社会全体で育てるという観点から、原則無料化されることが望ましい。
③ 世帯所得550万円以下の世帯でも減免を受けられない層が存在する
留守家庭子ども会事業については減免措置が取られている。具体的にいえば、それぞれ平成19年4月の時点で下記のようになっている。
a) 要保護世帯(147人)
b) 就学援助世帯(3,191人)
c) 兄弟姉妹で入会している世帯(477人)
このような減免措置が講じられていることを挙げて、「所得550万円以下の低所得世帯には減免で対応しているから良いではないか」という意見もあるが、世帯所得550万円以下の世帯がすべて減免対象になっているかどうかが疑問である。
そもそも世帯所得550万円の根拠は、「共稼ぎの夫婦と子供2人の世帯の場合、(就学援助の基準となる)450万円程度、配偶者が市民税非課税となる100万円程度、合わせて550万円」というケース的なものである。例えば、ぎりぎり就学援助を受けられない収入460万円と、配偶者の収入が20万円の世帯収入合計480万円の世帯があった場合、この世帯は減免措置を受けることができない。すなわち、世帯収入が550万円以下の世帯でも減免を受けられない層が確実に存在するということである。また、このような世帯にとって、利用料とおやつ代を含めた年間72,000円を拠出するのは非常に負担が大きい。
このような観点から、利用料負担の公平性が保たれていない現行の利用料有料化を改め、原則無料とすることが望ましい。
④ 無料化は「金持ち優遇」とは言えない
留守家庭子ども会事業の基本料無料化については、「低所得世帯に対してはもともと減免措置が講じられており、その上で原則無料化するというのは金持ち優遇ではないか」という意見も聞かれる。
しかし上記でも指摘したように、現行の留守家庭子ども会事業において減免措置の境目となるのは「就学援助を受けているかどうか」ということであり、言い換えれば「年間所得が454万円(可処分所得でいえば308万円)あるかどうか」という点である。
よって、無料化を金持ち優遇政策だと批判する声は、すなわち「就学援助を受けていない世帯は金持ちだ」と言っていることと同じであり、この批判は的外れであると指摘せざるを得ない。
⑤ 乳幼児保育と留守家庭子ども会は同一の視点で論じるべきでない
(義務教育期の施策は原則無料が本筋)
留守家庭子ども会事業の基本料無料化を取り上げて、「それなら乳幼児保育も無料化すべきだ」という乱暴な意見も聞かれるが、これも的外れである。
そもそも幼児期の保育に関しては、児童福祉の観点から様々な法的整備やそれに伴う措置が細かい部分まで制度化されてきた歴史がある。保育園の入園料に関して、国の指針により細かく規定されているのもその歴史故である。また、児童福祉法第56条の規定により、保育料に関しては「その全部又は一部を扶養者から徴収できる」ことを明確に規定しているところである。
一方、学童保育事業に関してはそのような料金徴収に関する明確な根拠法が存在せず、どちらかといえば地方公共団体の地域事情、特性に配慮した柔軟な料金設定ができる状況にあると解釈される。
また理念的にみても、これが義務教育期の子どもの「放課後の安心・安全な生活空間」を確保するという観点から、親の収入の多寡により施策的な差別が行われることは非常に大きな問題であり、原則無料として実施することが好ましい。
(無料化は、留守家庭利用者と非利用者の間の不公平感を助長させるか?)
一部には、「義務教育期とは言え、留守家庭子ども会事業を無料化すれば、留守家庭子ども会に子どもを預けていない世帯との間に不公平感が生じるのではないか?」という指摘もあるが、その指摘も当たらない。
なぜなら、義務教育期における「放課後の安心・安全な生活空間」は、あまねく等しく全ての学童に保障されるべきナショナルミニマムであると考えるからである。
例えば、一連の障がい者施策に対して、健常者との間で不公平感が生じると指摘する人はまず存在しないだろう。それは、支援無しでは保障されるべき一定水準の生活レベルに達することができない人々に対して、公的な支援を行うことにより健常者と同様の生活水準、すなわちナショナルミニマムを保障する施策だからである。
⑥ 子どもの間に「差別意識」を助長させる恐れがある
留守家庭子ども会事業を有料化したまま、減免措置で対応するという現行の方法は、義務教育期の子どもたちの間で「差別意識」を助長させる可能性をぬぐえない。
現時点においては報告されていないようだが、親同士、または親子間での会話の中に「あの家の子は利用料を減免されている」というような趣旨の発言を子どもが聞きつけ、それを留守家庭子ども会の場に持ち込み、「お前は減免組だ」などというレッテルをはりつけてしまうような事態が生じる可能性があることは否定できない。
このようなことから、親の収入の多寡を子ども社会に持ち込む原因となる現行の減免制度は、義務教育期の「放課後の安心・安全な生活空間」を確保するという観点からは好ましいものではない。
⑦ 第三子優遇制度の所得制限(1000万円)との非整合性
現在本市の子育て施策の一つとして実施されているものの中に、第三子優遇制度というものが存在する。事業の詳細は別添資料:参考③に譲るが、当該事業には8億8100万円の費用が計上されているが、当該事業を受けられる世帯の条件として、「世帯所得1000万円以下であること」が定められている。
留守家庭子ども会事業の減免対象は、世帯収入550万円(本市公表)以下の世帯に留まるのに対し、第三子優遇制度については世帯収入1000万円までが適用されるというこの現状は整合性に欠けるものであり、視点を変えれば、留守家庭子ども会事業の減免対象者が世帯収入1000万円以下とすべきという声が上がっても不思議ではない。
[Ⅱ] 自民党の条例案は実効性が担保されていない
① 学年拡大に伴う必要経費が示されていない
もっとも基本的かつ重要な問題であるが、政策提言をする上で欠かすことができない財源の手当てについて一言も触れられていない。
以下は民主・市民クラブの試算であるが、受け入れ対象学年を6年生まで拡大した場合、約4,000名の児童が増えると考えられる。「放課後児童クラブガイドライン」によると、一教室40名・1.65㎡が推奨値とされているが、この基準でいくと、相当数のプレハブを建設しなくてはならなくなる。一教室あたりの建設費用が約15,000千円と仮定すると、施設整備だけでも約15億円の予算が必要となる(別添資料:参考②)。これに毎年の運営費を加えると、その額はもっと大きくなることは言うまでもない。
これら必要経費の概算や予算確保についてどのように考えているかがまったく示されていない自民党の条例案は無責任極まりないものである。
(プレハブをレンタルすれば費用は低減されるか?)
教室となるプレハブをレンタルした場合、試算によれば年間4500万円と整備費を安く抑えられるが、・・・。
② 事業の実施日が明記されていない
受け入れ児童の増加となると、施設面での整備が必要となるが、その整備時期が明確にされていないことは問題である。必要性のニーズ調査、予算措置、施設整備という流れで進められることを考えると、留守家庭子ども会のサービスの質の向上に向けて、現行サービスの課題を子ども・保護者の実態を把握し、段階的に改善を行った方が現実的ではないかと考える。また、プレハブの設置場所に関しても、どのように配置をするかを検討しなければならず、早急に実施をすることができないと考える。わが会派も受け入れ対象学年の拡大については賛成する立場ではあるものの、その実施に当たっては十分な検討が不可欠であると考えており、施行時期のみならず、実施までに必要な作業手順や段取りについて、方向性すら示すことができていない自民党の条例案は無責任極まりないものである。
③ 学年拡大のニーズはどれだけ存在するか?
対象学年の拡大を実施する上で欠かせない作業の一つに、需要調査がある。すなわち、対象学年を6年生まで拡大した場合、どれだけの加入増が見込まれるかということだが、これについての論議が全くなされていない。わが会派も受け入れ対象学年の拡大については賛成する立場ではあるものの、その実施に当たってはしっかりとした需要予測調査を実施し、その数字をもとに予算組みを行うというプロセスが不可欠であり、これらを全く無視したなかでの学年拡大は無責任と言わざるを得ない。
④ 学年拡大が子どもたちに与える影響について考慮していない
受け入れ対象学年を拡大することに伴い生じる様々な問題と、その解決策について全く触れられていない。小学1年生から小学6年生までの幅広い年齢層の子供を受け入れるとなれば、これまでは生じなかった様々な問題が顕在化してくると考えるのは当然であろう。
その中でも、
a) 4、5、6年生に対する指導カリキュラムの検討
b) 学年拡大に伴う指導員の再教育
c) 幅広い年齢層の子どもたちが集まった際の人間関係のケアの在り方
といった大きな問題については、当局の中でも検討がなされていない状況である。
子どもたちが「安心して生活できる場を整備すること」を第一義的に考えるならば、まずはこれらの点について方向性を示すことから取り組まれるべきであり、逆にこれらの問題について対応策を準備しないままで学年拡大に踏み切ると、従来の留守家庭子ども会事業のサービスレベルを著しく低下させる可能性が高い。それらについて全く触れていない自民党の条例案は無責任極まりないものであり、到底賛同できるものではない。
[Ⅲ] 受益者負担原則を追求すると…
① 本市の他の子ども施策に多大な影響を及ぼす
現在、福岡市においては、「次世代育成支援」という名目のもと、子育て世帯に対する様々な支援助成事業が実施されているところである(別添資料:参考③)。
これら助成事業の中でも、「乳幼児医療費の無料化」、「妊産婦健診の助成拡大」、「乳幼児健診の無料化」、「第三子優遇制度」については、子育て世帯の経済的負担を軽減させるという観点から、福岡市が独自の財源によって実施している施策であり、各施策に投下される予算も、それぞれ30億300万円、4億6600万円、1億5700万円、8億8100万円と、その効果も含めて本市の次世代育成支援の中核として不可欠なものとなっている
(特に、「乳幼児医療費の無料化」および「妊産婦健診の助成拡大」については、「子育て日本一の福岡市」を標榜する吉田市長が実現させた事業である)。
これら事業については、現在、留守家庭子ども会事業の在り方を論じる上で争点となっている「受益者負担の原則」は適用されておらず、また、当該事業において今後受益者負担の観点から見直しを図るべき点が指摘されているわけでもない。
留守家庭子ども会事業に対してのみ声高に「受益者負担原則」の導入を叫ぶ姿勢に対しては、政策的合理性の観点から疑義を呈さざるを得ないことは言うまでもないが、仮にこれら本市の代表的子育て支援事業とも言うべき諸事業に対して「受益者負担原則」が貫徹された場合、どのような状況が生じるか?
上記に挙げた本市独自の取り組みが受益者負担の原則の下ですべて利用者負担となることは想像に難くない。それだけに及ばず、「所得に応じた減免措置」という経済的観点からのみの政策的に偏った助成制度の適用により、(一定水準以上の所得がある世帯の)母親の非経済的負担感の軽減という政策目標はこれからも達成されることはないのである。
② 子ども施策を重視しない都市に未来はない
子育て支援とは、狭義には子どもを持つ世帯の経済的負担を軽減させることであるが、より大きな視点から見ると、子どもを持つ世帯の非経済的負担感(時間的負担・身体的負担・精神的負担)を軽減させることでもある。
また、保育サービスの普及・拡充がなされることにより、そこから母親の出産退社や育児退社が消えていく。そこで女性の就業が継続され、男女の就業面での格差解消に近づく。そこから、企業内での男女平等へのプロセスがスタートする…子育て支援の拡充は、こうした就業形態での男女平等にも大きく寄与するのである。
「仕事も子育ても」という多くの女性が抱くニーズを充足させるということは、安心安全な保育環境の構築、真の男女共同参画社会の実現、本市経済のさらなる活性化といった多くのアウトプットを生み出すという意味においても、社会政策の中の大きな柱の一つであることを忘れてはならないのである。
2008年03月05日
議会質問
雨、曇り
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平成20年度福岡市の条例・予算案について民主・市民クラブを代表して江藤議員の代表質問の補足質疑をしました。(1)市民にわかりやすい行財政改革(2)新時代のアジア都市戦略(3)留守家庭子ども会(自由民主党、みらい福岡修正案に対し)の3点について質問しました。
<2008年3月議会補足質疑>(原稿:実際の発言は時間の関係等で若干異なっています。)
民主・市民クラブの山下です。民主・市民クラブを代表して平成20年度福岡市の条例・予算案について補足質疑します。(1)市民にわかりやすい行財政改革(2)新時代のアジア都市戦略(3)留守家庭子ども会の3点について質問させていただきます。市民に理解と希望を与える具体的で前向きの答弁をお願いします。
〔一問目〕
1. 市民にわかりやすい行財政改革
吉田市政の第一のアジェンダ(課題)として、「財政の健全化」が掲げられています。その実現には、時代背景を考察しながら財政学的に正しい道筋をたどって行われるべきです。地方分権推進委員として、現在の地方財政構造の骨格を創った日本の実践的財政学の第一人者である東京大学大学院教授の神野直彦教授によりますと「財政は、民間の市場における競争原理を至上命題とする経済システムと議会を通じて公共部門をコントロールする政治システム、そして家庭や地域で生活を営む社会システムという各システムを相関的機能的に結びつけているものです。」
その財政の危機は、安定的に機能していた経済・政治・社会の各システムの相互補完関係が崩壊している社会全体の危機の結果です。したがって、結果にすぎない財政危機を解消しようとしても、社会全体の危機は克服できません。
子どもや障がい者、高齢者等弱者の生活に特に厳しく顕れる社会システムの危機。株価暴落、サブプライムローン問題等で不透明感が増す経済システムの危機。そして人類の生存そのものを脅かす地球温暖化等の環境破壊の危機。それらの社会全体の危機を克服する正しい目標を政治が定め、そのための規律ある財政出動を有効に機能させ社会全体の危機を克服しながら、財政危機を回避すべきです。
政治が危機克服の適正な目標を定めるためには、正確な歴史的認識に基づく時代背景を的確に認識している必要があります。
20世紀から21世紀への世紀の転換期は社会全体の危機の時代と認識されていますが産業構造の転換期には社会全体の危機の時代が訪れます。19世紀から20世紀への世紀の転換期は、軽工業から重工業への産業構造の転換期によって社会全体の危機の時代が訪れました。軽工業から重化学工業へ産業構造の基軸が移るにつれ、道路や港湾等のインフラストラクチャー(生産基盤施設)を整備するとともに、都市勤労住民の社会システムの危機を克服するため先進諸国は、年金や医療など国民生活を保障する福祉国家を実現していきました。
しかし、20世紀から21世紀へかけ、産業構造が重化学工業からITなど知的集約産業へ移行する産業構造の変革期を迎え、先進諸国は再び社会全体の危機を向えました。IT技術の進歩による生産手段のパーツ化・パッケージ化が進展し、流通機構が簡素化し、また、大量の資本が瞬時に国境を越えて移動できるようになりました。これにより、生産手段の地球規模の拡大が可能になる一方先進諸国は産業構造の変革期として社会全体の危機の時代を迎えました。
同時に、福祉国家の基礎であるブレトンウッズ体制を崩壊させていったのです。福祉国家の基礎は、市場経済の勝者である高額所得者に重く課税し、所得再配分を通じて、政治システムや財政を通じて経済システムと社会システムを調和し、相互にうまく機能させてきたのです。そのためには、資本の移動を国家が制限する機能を認めあったブレトンウッズ体制が必要でした。
また、生産手段の地球規模の拡大は、ブリックス(ブラジル、ロシア、インド、チャイナ)諸国など後発の国々の活発な生産活動を促し地球温暖化ガスの排出量の増大による地球の温暖化という地球上の生物全体の生態系を破壊しかねない、有史以来の人類未体験の危機を生み出しました。
しかし、この産業構造の転換期の危機時代にアングロアメリカや日本と北欧を中心とするヨーロッパ諸国とは別々な道をとりました。
日本ではバブル崩壊後、旧来型の公共事業の拡大による経済システム回復に失敗した後に登場した小泉政権によって、アメリカ社会直輸入型の「新自由主義」路線による改革の継続が唱えられました。しかし、「改革」の名の基に実施された、新自由主義的政策の実態は、格差の拡大と地方や弱者の切り捨てを招きました。その実態は若者の雇用形態の変質による「格差社会」と高齢者や障害者に厳しい「不安社会」でした。
北欧を中心とするヨーロッパ諸国は、地方自治政府により子育て、教育、雇用環境に財源の重点配分を行いました。その結果少子化を克服し、教育水準を高め、地球温暖化防止へ積極的に取り組みました。
日本の一人当たりGDPの18位への低下。児童の学力の国際比較の低下。対ユーロ安イケア進出や携帯のノキアの躍進を目の当たりにして。と歴史の審判は明らかです。
20世紀から21世紀への、産業構造の転換は、重化学工業から知的集約産業への転換です。そして、その人間そのものの能力が付加価値を高める知的集約産業の基本的生産要素は人です。知的集約産業の社会では、肉体労働のハンディから解放された女性が生産要素の重要な役割を担うのであります。そこで、次の時代を担う子どもや、子育て・教育・雇用などの人を大切にする政策が新しい知的産業のインフラストラクチャーとして重要になってきたのであります。
このように新しい時代においては、財政は市民生活の安心安全を図りながら社会システムを安定させ、新しい時代に応じた経済システムに適合した政策を推進しながら都市の活力を維持発展するために大変重要な役割を持っています。
そこでこの財政そしてそれがつかさどる行政改革の姿を大きな方向性と具体的な事例で市民にわかりやすく説明し、市民に理解を得なければその改革は有効に機能することがでません。
そこでお伺いしますが。
① 吉田市長の本格予算の特徴を前市政や他都市と比較しながら簡潔に具体的数値や事業内容を示しながら市民に分かりやすく説明してください。
また、後期高齢者医療制度ができ負担の面は、よく広報されていますが財政的面はあまり知らされていません。そこでお尋ねしまが。
② 後期高齢者医療制度の創設により本市の財政に与える影響と今後の推移の変化についてお示しください。
市債の発行額が顕著に増え始めたのは、平成6年度からでそれ以前や現在の水準の倍以上になっています。その後、この傾向は平成16年まで11年間続き、一般会計で約1兆億円、全会計で約2兆億円の借り入れを行っています。そのことが市債残高を2兆6000億円に膨らませた大きな要因となっています。
また平成19年度から3年間で公的資金の補償金免除の繰上償還が認められるようになりました。そこでおたずねですが。
③市債残高が拡大した理由を国の方針や本市と政令市昇格の時期や都市規模が類似している仙台市、川崎市、広島市、北九州市の市債残高と比べお示しください。また、補償金免除繰上償還の要件と償還内容とメリットについてお示しください。
次に行政改革ですが、総務省より要求された集中改革プランによって平成22年までに4.6%、約500人を削減するという目標があるため平成20年度は、102名の職員を削減しています。
また、平成18年度から指定管理者制度を導入して、112施設を公募型、252施設を非公募型として計364施設に指定管理者制度を導入しています。そこでおたずねですが
④本市の組織の特長と平成20年度の改革による人件費に与える影響及び指定管理者制度の導入による効果についてお示しください。
また。
⑤局の再編による統合効果をお示しください。また、アセットマネージメント推進の対象となる施設の概要(施設概数、維持管理費、更新時期)とそのスケジュールをお示しください。
財政の健全化と行政改革の両方に影響を与える本市の退職者についてお伺いします。この10年間に約4000人本市職員の半数近くの方が退職されることになります。そこで、次の時代を睨んだ機能的な組織運営方針や技術やノウハウの承継が大きな課題となります。そこでお尋ねしますが。
⑥今後の大量退職にあたって人事バランスを考えた昇任・補充やノーハウの承継の考え方及び本市財政に与える影響についてお示しください。
2.新時代のアジア都市戦略(脱地球温暖化都市とユビキタス都市)
地球温暖化対策は、我が会派の金出議員が昨年の決算特別委員会で質問しましたが、経済システムにのっと他アジア都市戦略との視点から質問します。この地球の温暖化は、異常気象や生態系の変化として私たちの日常の生活でも実感されるようになり農水産業ではすでに影響が出始めています。そこで、東京都や横浜市等各都市とも地球温暖化に対する対策を国任せにするのではなく積極的に取り組もうとしています。そこで、まずおたずねですが。
①東京都や横浜と比べながら本市の地球温暖化対策事業の予算と組織体制をお示しください。
昨年の決算特別委員会で公明党の川辺議員が韓国ソウル市の江南区(カンナム区)の事例をあげて電子自治体の推進について質問されました。私も大変興味をもってその夢の電子自治体江南区(カンナム区)を視察させていただきました。都市のいたるところに、コンピュータと通信ネットワークが組込まれ、「いつでも、どこでも生活に便利なITサービス」が受けられるユビキタス都市と呼ぶにふさわしいものでした。そこでおたずねしますが。
②本市の電子自治体として、市民に利用されている主なシステムの特色と利用状況をお示しください。
3.自由民主党福岡市議団、みらい福岡市議団提案の議案第91号 留守家庭子ども会事業の実施に関する条例の改正案について。
今議会には,市長の提出議案として,留守家庭子ども会の開設時間を午後7時まで1時間延長するとともに,基本利用料を無料化するための留守家庭子ども会条例の改正案が提案されています。
昨年の当初議会においても,市長からほぼ同様の内容の改正案が提出されましたが,残念ながら否決されたため,再度の提案ということになります。
少子化が進行し,また,放課後の子どもの安全・安心な居場所が求められる中,今回,市長が提案されている「留守家庭子ども会の5時までの基本利用料の無料化と,午後7時までの時間延長というサービス拡充」,さらには,「新・放課後等の遊び場づくりモデル事業」の計画などは,学齢期の子育てを支援し,また,子どもの健全育成を図る事業として,日本一子育てしやすい街をめざし,社会全体で子育てに取り組もうとする市長の意気込みを示す事業であり,その積極的な姿勢を高く評価したいと思います。
この市長の提案に対し,自由民主党福岡市議団と,みらい福岡市議団の議員の皆さんが提案者となり,同じ留守家庭子ども会条例を改正する,もう一つの議案が提出されています。
その内容は,利用料は現行どおりの有料のまま,対象児童の学年を6年生まで拡大するとともに,市長提案と同じく,開設時間を午後7時まで延長するというものであります。
そこで,この議員提案による条例の改正内容のうち,市長提案と異なっている6年生までの学年拡大の部分について,仮にこれを実施するとした場合,どのようなことが課題となるのかについて,留守家庭子ども会事業を実施している当局に対し,お尋ねしてまいります。
① まず,現在,留守家庭子ども会に入会できる児童は,小学校の1年生から3年生までの児童,障害を有する児童については6年生までと規定されていますが,仮に,この対象児童の学年要件をすべて6年生までに拡大するとした場合,入会児童は学年拡大分が増加するだろうと思いますが,市長案に比べて,どのくらいの増加が見込まれるのか,おそらく何らかの推計となるだろうと思いますが,お尋ねいたします。
② また,学年拡大による入会児童の増加に対応するためには,留守家庭子ども会の施設・設備や指導員など,どのような点について対応が必要となってくるのか,対応すべき項目をお示しください。
〔2問目〕
1. 市民に分かりやすい行財政改革
市債残高の膨張(ストックの量が)本市の財政に与える影響は、それが公債費として元本と利息の支払いが(フローの量)各年度の予算を圧迫するからです。そこで、主にフローの財政の健全化度を比較し客観的に測る地方自治体財政健全化法の4つの健全化比率をできるだけ早く整備することを要望しておきます。市債残高の性質別内容を市民に知らせることも大切です。そこで、お尋ねしますが、
① 本市の市債残高について、用途別借入残高の主なものをお示しください。また、補償金免除繰上償還により5%以上の高金利債はどのくらいのこるか、また4%以上の金利の市債はどのくらいあるかお示しください。
市民に分かりやすく財政状況を知らせるためには予算編成過程の公開も重要です。そこでお尋ねしますが、
②予算編成過程の公開の他都市の動向を主な都市の事例をあげて市民にとってのメリットをお示しください。また現時点での概要とスケジュール、及び課題をお示しください。
2.新時代のアジア都市戦略
地球温暖化は、世界的な天候不順、海水面の上昇、農作物への影響などをもたらすと考えられていますが、その原因とされる温室効果ガスの削減が、世界的な課題となっています。1997年に開催されたCOP3(地球温暖化防止京都会議)では、京都議定書によって、1990年当時の温室効果ガスの排出量を基準に、2008年から2012年までの期間で数値目標として決められました。ロシアが批准したことによって、2005年に京都議定書が発効、世界的に温室効果ガスを削減しようとする努力が続けられています。そこでお尋ねしますが
① 世界全体の二酸化炭素排出量やアメリカ、アジア主要国の排出割合、日本及び福岡市の二酸化炭素排出量とその主な部門の排出割合、またそれらの削減目標についてお示しください。
京都議定書で、「共同実施」「クリーン開発メカニズム」などとともに排出権取引が採択されました。地球温暖化の原因とされる温室効果ガスなどの総排出量を抑制するために、市場取引という経済的手法を取り入れることによって、より柔軟に世界全体の温室効果ガスを抑制するのが狙いだとされています。そこでお尋ねですが。
② 排出権取引とはどういうものですか。現状はどのような取り組みがなされていますかお示しください。
また地球温暖化ガスの排出量を抑制する為にはクリーンエネルギーの導入も重要です。そこでお尋ねしますが、
③太陽光発電、風力発電、水素エネルギー等の新エネルギーの動向教えてください。本市の太陽光発電の補助実績と市施設への導入状況をお示しください。
新しい街づくりをおこなうアイランドシティにおいては、今から街づくりを行うのですので地球温暖化防止対策を街づくりの中に埋め込むことも可能です。そこでお尋ねしますが、
④ アイランドシティの環境に関する現状と今後の取り組みについてお示しください。
ユビキタス都市江南区においては、管内の61ヶ所(地下鉄駅、コンビニ、など)に43種類の申請書(住民票、戸籍謄本、納税証明書など)の自動交付機が設置されています。インターネットの映像を通じて重要政策会議をライブ放送し、各種の行政の処理過程が公開されています。また、携帯電話などを通じて「生活不便事項(騒音、清掃、広告物など13分野別)をいつでも、どこでも行政に申告でき、システムを通じてその結果を迅速・簡便に確認できます。懸案事項の政策や事業の主題を選定し、住民が政策を提案できる政策討論コーナーを運営しています。その結果、予算編成時の事業の優先順位などの政策決定がより透明で客観的に住民の多数が望む方向に行政が運営されます。行政文書は100%電子化され、文書貯蔵空間は1/10職員数は1995年2041人から2006年には1297人になっています。驚くべき行政改革といえます。そこで本市の状況をお尋ねしますが。
⑤ 住民票等の自動発行システムに関する最近の状況の変化(他都市の普及状況、コスト等)及び本市の取り組み姿勢についてお示しください。
また南区の住民の方々からが、南区は公共施設が少なく特に総合図書館まで距離が遠くて不便ですとよくいわれます。そこでお尋ねしますが
⑥ 本市の図書館の貸し出しのシステムと電子システムの稼働状況を他都市(先進都市:政令市、浦安市)と比較(人口当)してお示しください。
国の税金はe納税としてインターネットを利用してすでにできますが本市の場合はどうなっていますか。そこでお尋ねします。
⑦ 本市の電子申告システムの概要とメリットそして開発スケジュールについてお示しください。
また若い人の間では、マイレージでポイントがたまることから電子マネーが普及しはじめています。そこでおたずねしますが、
⑫ 電子マネー活用の経済社会の進展状況と他都市の事例、そして本市の電子自治体化政策として活用の可能性についてお示しください。
3.議案第91号 留守家庭子ども会事業の実施に関する条例の改正案
まず,留守家庭子ども会条例の改正案についてでありますが,
6年生まで対象学年を拡大することにより,約3,800人,約40%弱の児童が新たに入会すると推計されるので,入会児童の増加数に応じて施設を増改築したり,指導員の数を増やしたりする必要があるとの答弁でした。
ところで,留守家庭子ども会の施設・設備や職員体制などのあり方については,昨年(平成19年)10月に厚生労働省から「放課後児童クラブガイドライン」が出されていると聞いています。
③ そこで,お尋ねしますが,まず,この「放課後児童クラブガイドライン」が策定された目的とその位置づけ,それから,放課後児童クラブの規模や施設・設備,職員体制に関する内容がどのようなっているのかお教えください。
④ 次に,このガイドラインに照らした場合,本市の留守家庭子ども会の施設や設備は,現在のところ,どのような状況なのか,お尋ねいたします。
⑤ さらに,同様に,ガイドラインに照らした場合,本市の留守家庭子ども会の規模や,指導員などの職員体制の現状はどうなのか,お尋ねいたします。
〔3問目〕
3.議案第91号 留守家庭子ども会事業の実施に関する条例の改正案についてお尋ねします。
次に,留守家庭子ども会条例の改正案についてでありますが,
2問目の答弁によりますと,厚労省が策定したガイドラインに照らした場合,本市の留守家庭子ども会の現状は,70人を超える大規模な子ども会や,児童の居室面積が不足している狭い子ども会がまだまだあるなど,まだ改善を行う必要がある子ども会が多数残されている状況にあることがわかりました。
我が会派も,留守家庭子ども会の学年拡大については,要望しているところでありますが,留守家庭子ども会の現状として,このように課題があるのであれば,6学年まで学年拡大を行えば,さらに40%ほど児童数が増えるのですから,現時点での6学年までの学年拡大は,現実的でないのではないかとも考えられます。
しかし,自由民主党と,みらい福岡から提出された条例案には,施行年月日が明示されておりません。したがって,次年度予算が措置されておらず,条例案の施策が,いつ実施されるのかさえも分かりません。
まずは,今できること,急ぐべき施策を着実に進めることが求められています。そのような意味で,市長提案の条例案を評価し,支持するものであります。
「一人の子どもを育てるのに一つの村がいる」とアフリカの諺にあります。社会全体で子どもを育てると言う視点でさらに努力を重ねていただくことを要望しておきたいと思います。
<市長答弁>
それでは、吉田市長にお伺いしますが、市長は都市の経営者として、今年は実行の年であるといわれておられます。厳しい財政状況の中、行財政改革を行いながらも都市の活力を維持発展することが求められるのであります。「改革」とはreformation「あるべき姿に戻すこと」です。社会全体の危機の結果である「財政の危機」を解決するためには、社会全体の危機を克服するために財政運営が行われる必要があります。そして財政運営は民主主義に基づいて行わねばなりません。「民主主義の目的は、市民が対等な条件の下で、将来の社会形成に参加し、自己の生活を豊かすることを可能にすることです。」都市の経営者としての市長は、この市民との対話を深めながら新しい時代の「あるべき姿を見定めて」財政運営を行うべきです。その意味で、本市の平成20年度予算案では子どもや教育の予算が厳しい財政事情の中で増加しているのは、新時代の経済システムや社会システムに適した人に対する投資として時宜にかなったものといえます。
一方市長は、アジアの大交流時代に福岡が拠点となることを目指しておられますが、そのためには、歴史・食べ物・自然やおもてなしの心などの観光資源を大切にすることも重要ですが、都市の発展を促す新しい経済システムにのっとった産業の活力の創出が必要です。それは、一つには便利な電子サービスが空気のように市民に与えられるユビキタス都市です。市長は、今年4月世界最先端のユビキタス都市である江南区を視察されるそうですが、その夢の電子自治体を実現したのはトップのリーダーシップと職員の心とアイディアだそうです。視察をされ本市の電子自治体化にリーダーシップをとられることを大いに期待するものです。
また、地球温暖化防止は、全世界的な緊要の課題です。そして、これを経済システムの中で解決しようとするのが排出権取引です。キャップアンドトレードによって、排出権の枠をかぶせそれを取引する市場を生み出します。すでにEUでは、6兆円市場を形成し、今後30兆円市場になるそうです。日米の政治状況の変化によってはその規模は急拡大する可能性もあります。この排出権取引は、政府開発援助(ODA)を利用してインドや中国などの途上国に資金や技術面で協力して温暖化ガスの削減した分を自国で減らした分と認められるクリーン開発メカニズム(CDM)を活用もできます。アジアに近接した福岡市の地理的特性を生かし排出権取引のトレードセンターになることも可能です。そして、この排出権取引は低炭素社会にむけた環境技術や新エネルギー技術の開発へ資金が流れることが可能になります。
先日、私は水素エネルギー技術開発の世界的権威である九州大学の副学長の村上先生にお会いしてお話を聞くことができました。「知恵が人を呼び人が金をよぶ。」そのためには、まず行政が支援することが必要です。市長も顧問になっておられる福岡水素エネルギー戦略会議は福岡県が主体的に関わり二億八千万円の予算をかけトヨタのトップクラスの技術者の方と真剣な議論をしながら未来の車として水素燃料電池車の可能性を探り、水素燃料電池を使った戸建て住宅(前原市)やバス(北九州市と九州大学)を走らせる実験を始められるそうです。今年2月6日に第2回水素エネルギー世界フォーラムが開催され水素エネルギーの世界的頭脳の人が300人も福岡に訪れました。経済産業省も戦略産業として金や人をだしています。
今年、1月に福岡市汚泥有効利用研究会で第五委員会の方々と東京都の下水処理場の視察に行きました。東京都の地球温暖化に対するトップの姿勢は、下水処理場(行政CO2排出量の4割を占める)の職員の人にまで浸透し、ソニーとの熱交換の事業を熱心に説明していただきました。また、横浜市の脱地球温暖化都市のランドマークとなっている巨大な風車があります。この風車は補助金をうまく使いながら企業と市民のファンドで運営し、木立4500本分の二酸化炭素の排出を抑えていると知り中田宏市長のやる気を感じました。
福岡という都市が地球温暖化の先端都市として、具体的に目に見える形でアイランドシティを整備する。例えば「アイランドシティの青果市場の屋根が太陽光発電のパネルで覆われる。水素エネルギーの車が走る。水素燃料電池マンション等」超低炭素社会のランドマークとしてアイランドシティを整備することは市民に夢と誇りを与えることになると思います。そこで、アジアの先進的な脱地球温暖化都市やユビキタス都市を目指し、都市の新産業の活力を創出する新時代のアジアに向けた都市戦略を推進してはいかがかと思いますが。市長のご所見を伺いして私の質問を終わります。

