2008年11月20日
子ども病院人工島移転住民投票条例
曇り 11月一番の寒さ
子ども病院人工島移転住民投票条例は、11月18日、19日臨時議会の中で審議され、反対50賛成12で否決されました。この条例案に対しては、私も採決で反対の意を示しました。その理由は以下の通りです。
①子ども病院は、建設後30年を経過し、老朽化して、手狭まで今後も従来どおり高度な小児医療を担っていくためには、早急な建替えの必要性あることについては、当事者だけでなく広く市民にも理解されるところです。
②その際、どのような子ども病院を建て替えるのは現在の子ども病院が担っている役割を整理して考える必要があります。
一つには、地域の医療機関から紹介された患者の方々に入院や通常の手術で対応する地域小児科センター(小児地域【2次】医療機関)としての役割です。現在市内10施設ですが主に中部地区に集中し東は千代の千鳥橋病院、西は西新の記念病院が限界です。これは、市内のブロック拠点ごとに整備し、全市民的に地域バランスのとれた地域小児2次医療を提供する必要があります。そして、地域の政策医療として本市でも引き続きその一翼を担っていく意義があります。
一方、本市の子ども病院は、設立時の高い理念とその後の携わった医療従事者の絶え間ない努力によって小児心臓手術に見られる全国に誇れる県域あるいはブロック圏での小児中核病院(小児高度【3次】医療機関)として岡山以西の西日本唯一の子ども病院としての役割を担ってきました。これは、本来は高度な政策医療として、国や県の広域的行政機関が担う役割です。ただ本市では、30年間で培われたその輝かしい努力によって市域外の患者が5割弱にもかかわらず本市の政策医療として今後も担うべきものと市民にも理解されています。
③しかし、患者やその家族や、紹介する一次医療機関の医師の方々にとっては、高度2次小児医療か高度3次小児医療かは、判然としません。そこで、建替移転の問題がでてきた時、場所の問題が大きな争点となったと思われます。この問題を考える時、高度3次医療機能を有しながら、地域の基幹的高度2次医療機関として果たしてきた役割を整理して考える必要があると思います。
<民主・市民クラブ議員(東区選出)の委員会での発言>(2008年11月18日 第二委員会)
新病院の整備に関しては、平成19年第1回定例会以降、本年6月までの本会議における議論に限っても、延べ39名の議員が質問を行い、また、予算・決算特別委員会や各常任委員会、及び各分科会における議論を含めると実に431項目におよぶ質問がなされています。これに加え、7月には請願審査、また9月議会では新病院用地取得議案が可決された。この間の質疑も含めると、450項目を超え、十分な審議を重ねてきたとの認識である。また東区選出という立場からも、新しいこども病院の整備については、大いに関心を持っています。
東区のある小児科の先生の言葉を借りれば、
①千早病院や和白病院の小児科が廃止になり大変困っていること
②夜間や休日は、急患センターしか頼るところがないこと
③緊急や紹介などで、こども病院に行ってもらう場合に、都市高速やタクシーを利用される場合でも、誰一人として不満を言う家族はいないこと
等あまり議論の対象になっていないが、一方で市東部地区ではこのような現実があることも承知していただきたい。因みに、この先生は子ども病院がアイランドシティーに決まったことで、大変喜んでおられる。
我が民主・市民クラブは、現地建て替えが一番理想的であることは理解していますし、決してアイランドシティー自体にこだわっていたわけではありません。各候補地を比較検討し、どこも一長一短あるなかで、本市の担うべき医療機能の整備の観点から、医療の質の確保を一番に考え、コスト面を考慮して結果的にアイランドシティーを選択した経緯は十分に評価し得るものです。
医師や看護師等の医療従事者の確保についても議論があったかと思いますが、医療機関で医師の採用に関わってきた私の経験から、医師が専門性の高い医療機関を選択する場合の大きな要素は、高度医療がなされ症例が多いことや職場環境です。特に、施設や設備が整っていることは、医師が病院を選ぶ際の、重要なポイントの一つです。
一部に、「こども病院は、今のままでいい。」というような意見もあるようですが、医療に携わった私の経験から申し上げれば、それでは、将来、医師不足に陥り、子どもの医療を行うことが成り立たなくなることが予想されます。ご承知のとおり、現在のこども病院は、高度医療を提供しているものの、施設の狭隘化や老朽化は深刻な問題となっており、新たな医療設備・医療機器などを導入することが難しくなっているのは、まぎれもない事実です。この状態をこのまま放置すると、医師が最新の医療設備などが整った病院を選択することが十分予想され、こども病院を選ぶ医師が減ることになりはしないかと、私は危機感を持っています。新・こども病院が目指す、高度・周産期・救急医療を行っていく上では、優秀な医師を確保できるかが最も重要であり、次にどこにあるかである。医師不足になれば、当然症例も減って行くことになり、高度医療のレベルを維持することが困難になったり、最悪の場合、小児医療の存続に関わる事態を招くのではないかと危惧しています。
これまで、こども病院が築き上げてきた医療を絶やすことなく、将来に繋げて行くことこそが、我々市政に関わる者に課せられた責務です。
先人から引き継ぎ、将来に向けて、新・こども病院が担う、高度小児医療、周産期医療、小児救急医療の更なる充実のため、本市の責任において、早急に新病院を整備し、本市はもとより、西日本エリアの一人でも多くの子どもの命を救う重要な役割を果たしてもらうようを強く要望します。
- by 山下けんじ
- at 14:28

